見積もり加算

観た映画を記録するのみ。感想休止中。

新・猿の惑星

原題/Escape from the Planet of the Apes

1971年/アメリ

監督:ドン・テイラー(脚本/ポール・デーン)

出演:リカルド・モンタルバン、ナタリー・トランディー、ブラッドフォード・ディルマン、ほか

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シリーズ三作目。失礼なんだけども、期待が低かっただけに面白かったです。

まず、始まり方がワクワクする(今更ながらPlanet of apesのタイトルロゴは奇跡的にかっこいいですね!)。そして1・2作目と大きく違うのが音楽で、なんていうか現代に近づいたぞ!という印象。ストーリーとしては1作めの鏡の世界のような感じで、単純明快でありコメディタッチな部分もあり、もちろんこのシリーズを通した批評精神というかシリアスな問題(今作ではウーマン・リブや政治、動物実験、環境汚染問題だろうか)を描きながら、ラストは希望を感じるものだった。

序盤はふたりの新婚旅行をみているような心持ちがした。たのしそうなふたりを観てなんとなく空しいような、かなしいきもちになった。ふたりにとっては遥か過去の地球。オーダーメイドのスーツを作って、ドレスを着せてもらって、お酒を飲んで良いホテルに泊まって、泡風呂に入って笑っているジーラ。滑稽でかわいいと思い、そう思った自分に自己嫌悪する。ルイスとスティービー(人間版のコーネリアスジーラ)も同じきもちになったに違いないので、おそらく狙った表現だろう。

街を見学するシーンがあるのだけども、70年代のアメリカの街やファッションや人々が映し出されていることも単純に史実として興味深かった。

話を聞くに紆余曲折あってジーラとコーネリアス宇宙旅行してきたんだろうけど、その旅の過程もみたい。

しかし…1年ごとにこの作品たちを公開していった当時のハリウッドは凄いです。

 

猿の惑星シリーズの時系列です。「1作めはなんかラストに自由の女神が出てきて地球じゃんって気づくっぽい」くらいしかストーリーの知識がなかったので、あまり調べずに続編を観ていくのは楽しいです。けど下の図を理解できるか自信はございません。

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猿の惑星(1968年) ←Done!
②続・猿の惑星(1970年) ←Done!
③新・猿の惑星(1971年) ←Done!
猿の惑星・征服(1972年)
⑤最後の猿の惑星(1973年)
猿の惑星: 創世記(2011年)
猿の惑星: 新世紀(2014年)
猿の惑星:大戦紀(2017年公開予定)

 

 

セブン

1995年/アメリ

監督:デヴィッド・フィンチャー

出演:ブラッド・ピットモーガン・フリーマングウィネス・パルトロウほか

 


SE7EN - Trailer - HQ - (1995)

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連続殺人が起こる街で、刑事ふたりが捜査していくうち事件そのものに巻き込まれていく一週間の話。なんで今まで観てなかったんでしょう…最高に素晴らしかった。

暗い話なんだけどもアクションシーンもあり、ミステリアスな要素もあれば笑いを誘う要素もある。カメラワークも息を呑むものだった。ストーリーは勿論なんですが、最初のタイトルクレジットや、画面そのものが滅法かっこいい。「銀残し」と呼ばれる技法(メモ:wiki)が使われてるそうで、全体がとにかく暗いうえに7日間ずっと雨が降っている。光が差すシーンは2回くらいしかない。イカす。三十路なのに「かっこいい」「イカす」としか言葉が降りてこない低脳が悔しくてなりません。

ブラピ演じるミルズ刑事の奥さん役、グウィネス・パルトロウモーガン・フリーマンと二人で話すシーンが心に残った。あのシーンの奥さんの演技は最高だった。「I hate this city.」の台詞は、この映画全体のテーマである”七つの大罪”が産み落とされる煉獄を暗喩しているのだと思う。ラストも凄惨で救いようもない展開。「都会の無関心」というテーマが何度か見え隠れしていたこの映画において、それでは果たして家族やパートナーにどれだけ関心を持てていたか?という問いかけが頭に浮かんだりした。ハッピーエンドにしたがるアメリカ人がよくやった!という思い。この結末だからこそこの映画は完成していると感じる。

ラストは二通り作ってたみたいなんですが、監督のデヴィッド・フィンチャーには「観た人の心に傷を残したい」という強い気持ちがあり、このラストになったそう。デヴィッド・フィンチャーに会う機会があったら、ちゃんと傷がつきましたよ、と固く手を握りしめて言いたい。

この監督はエイリアン3のだめっぷりで「もうハリウッドでは映画が撮れない」とすら言われていたそうなんですが、ブラピの強い後押しのおかげで今作のオファーを受け、その後ファイト・クラブソーシャル・ネットワーク、言わずもがなのゴーン・ガールなど数々の素晴らしい作品を世に送り出せたそうな。ブラピえらいね。ブラピすごい。ということでブラピ好きになってしまった。出演作を観直していきたい。

1995年というと先日観た「ビフォア・サンライズ」と同年に世に出ているのか。記録することはいいことだ。

<メモ>

・ずっと雨だったり残酷なシーンがあったりなど、よくできたな…と思わずにいられない。

・自分が9歳のときにこんな映画が世界にあったなんて。でも9歳ではなく、いま観られて良かった。

・華のある俳優のパワーは凄い。ブラピまつり開催しようと決意した。

 

▼町山先生のおかげで二度三度味わえる映画。


町山智浩の映画塾! 「セブン」<予習編> 【WOWOW】#55


町山智浩の映画塾! 「セブン」<復習編> 【WOWOW】#55

π(パイ)

1998年/アメリ

監督:ダーレン・アロノフスキー

出演:ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、ベン・シェンクマンほか


映画 『π(パイ)』 日本語予告篇

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とにかく数学者が頭痛に悩む白黒映画。

いきさつの説明が少ないせいで収入源が謎な人が主人公なんですが、家にでっかいコンピュータがあってそれをなんやかやして株価の予測ができるらしく、なんかスピーディな展開で株式市場関係の悪い人とかユダヤ教関係の悪そうな人とかに脳を狙われる。で最後すべて忘れて幸せっぽい感じで終わります。頭悪いの丸出しな説明で申し訳ないです。

コンピュータが自分自身に気づいてなんとか…というくだりは(ちょっと無理がございます)と思いました。そういった流れに「ほう」と思わせるにはある程度そのメカに何かしらの感情を持たせる過程がないと難しいと思うのです。名前がついてるとかPCに向かって話しかけてるとか、観てる側の凡人にも何か「特別な感情がある感じなんだね」と伝わる行為があったら良かったと思いましたがこれは三度の飯よりロボ好きの意見なので、まぁ単なる感想です。でも愛がないとただのパソコンぶっ壊れ事案だよね。

ダーレン・アロノフスキーは「ブラック・スワン」の監督ですが、音楽はクリント・マンセルが手がけており、先日視聴した「月に囚われた男」の音楽もこの方。なんか聴いたことある感が終始あったので納得です。

トランス系の音楽がずっと流れてまして、鍵を締める音や走る音も小気味よくBGMに合わせてあるので疾走感があります。でかいプロジェクターがあって小さいステージ的な部分があるけどもカフェバーともバーともつかない常連だらけの入りにくくて居心地悪い酒飲み場ってあるじゃないですか、そういうとこでπを流すナイトとかあったら大いに盛り上がるんじゃないでしょうか(常連だけで)。

内容がどうこうより、この映画いつものH島駅前Fタバ図書で借りたわけなんですが、DVDの調子が悪かったんです。で途中数分間観られてない部分があります(早送りなら観られたのでだいたいは把握できてると思いますが)。この”FタバのDVD不調事件”が起きるのは二度目で、前回は「es[エス]」というスタンフォード監獄実験を題材にした映画で発生しました。エスのときは「早送りなら観れたょ☆」という脳天気な感じではなくて完全に途中から視聴不能でした。なので、わたしはエスの結末を知りません。なんか不気味な映画で起きるんでしょうか。もしかしたらDVDの不調ではなくて我が家の霊障かも知れません。

白黒映画だったので、白黒で私の優しさを押し付けがましく貼っておきます。

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ビフォア・ミッドナイト

2013年/アメリ

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ジュリー・デルピーイーサン・ホーク


映画『ビフォア・ミッドナイト』予告編

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犬も喰わない夫婦喧嘩を観させられる映画。

以上になります。引き続き宜しくお願いいたします。

 

 

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ビフォア・サンセット

2004年/アメリ

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ジュリー・デルピーイーサン・ホーク


Before Sunset - Original Theatrical Trailer

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「ビフォアシリーズ」三部作のふたつめ。9年越しの再会です。主演の2人も9歳としを重ねています。

まず思ったのは英語の勉強をしている人に適した教材であるということです。まさしくhad been映画だしふたりとも聞き取りやすい。

一作目の「ビフォア・サンライズ」は(自分の感受性の問題で)一歩引いた場所から観たような感覚だったけど、今作の主人公はふたりとも30すぎという設定なので、会話や考え方もとても今の自分にフィットしていた。脳を駆使せず軽快に観られたし、胃もたれしなかった。お互いについて知っている情報が少ないと、そのポイントだけについて深く語り合うことになるので、かえって相手がどんな考え方や視点を大切にするのかを理解することができる。

ひとりで海外に行って、こわごわ入ったバーで、たまたま居合わせた同じくひとりの日本人がいたとして。朝まで仕事のこと、小さい頃の思い出、故郷のこと、映画や音楽や好きなもののことについて会話して、なんとなく連絡先もSNSも教えあわないまま「じゃぁね」と別れたとして。そのひととまた海外でバッタリ出会ったら、きっとこんな映画のようになると思う。リアリティが凄いのです。終わり方も個人的に最高だった。考え方もこころも子供のまま大人になって、うんざりするような毎日を乗り越えて日々を戦っている同志、恋愛要素がなくても人との関わりの温かみが伝わります。

 

深く共感するシーンがあったので引用。

細かいところに目が行っちゃうの そして感動して忘れられなくなる 
最近のカップルが混乱しているのは きっと長年供給者だった男性が女性に必要とされなくなったからかもね  私は強いし 経済的に自立してて 養われる必要はないけど 愛する人は必要だわ 

次はまたしても9年後です。40歳になるまで観ないほうがいいんじゃないかという気もして参りました。

 

<メモ>

・人生の最高の出来事は人と出会い深く知り合うことです

・東欧に行ったことある?のシーン。言葉はわからないし、買うものもないし広告もない、することといえば散歩と日記を書くだけ。退屈だったはずなのに、頭が休まり物質欲が消えて気分が高揚した

・すべてに心を開くけれど特定の宗教を信じるのをやめてるの

・ボートに乗ったときブラウスが風でまくれて腹とか背中とか見えてるのめっちゃきれいだった

・とにかく会話が自然で軽快なので、映画の体感時間40分くらいだった。

・ちらちら見てるのをバレないようにしてる視線とか、触ろうとしてやっぱりやめる場面とか。

 

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恋人までの距離(ディスタンス)

原題:Before Sunrise  1995年/アメリ

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ジュリー・デルピーイーサン・ホーク


Before Sunrise (1995) Movie Trailer, Julie Delpy & Ethan Hawke

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「ビフォアシリーズ」三部作のひとつめ。

恋愛映画って本当に観ないんですが、映画のあらすじとリアルタイムの続編があるというので興味が湧いて観てみた。電車で知り合った男女がウィーンの街をウロチョロしたりイチャコラしたりしながらお互いの話をして好き同士になっていく話。

観ている最中、Waking Lifeみたいだなと思った。一貫性のない会話と議論を様々なシーンを転々としながら続けるところ。あまりにも会話が自然で全く演技という感じがしないのですが、主演の2人がもともとの脚本を繰り返し会話しアドリブを重ね、自分の言葉に書きなおしたものをまた脚本にしているそう。んで、今作のクレジットに脚本として自分たちの名前がないのに納得行かなかったそうなんですが、無事に続編で脚色賞にノミネート。よかったね。(アカデミー賞の決まりで、続編の映画は脚本ではなく脚色になるそうだ。)というこのエピソードは観る前から知ってたんだけど、実際観て本当に納得。自然すぎる。

ジュリー・デルピーさん、なんていうかスカーレット・ヨハンソンのスッピンぽいというかフレンズに出てきた背の高い子みたいというか、モナリザのスッピンぽいというか、とにかく何かのスッピンぽい顔してらっしゃるんですけど、顔がそこまで派手じゃなくって(もう今思い出せないくらい)美人すぎず、現実味あってよかった。

この映画を観て、胸が痛くなったり涙が出たりしなかった自分が残念だった。10年前に観たかった、というか大学生くらいの層が支持母体だと思います。

ストーリーそのものよりも会話の内容が興味深かったかもしれない。知り合って間もない、名前も知らないような相手じゃないと話せない事って意外と多い。

 

サンライズと来たらサンセット。そしてミッドナイトと続く。A型なので、全部借りてあります。観ます。

 

<メモ>

・異国における、言葉の通じない孤独感とか文化の違いからくる疎外感。それと同じくらいの無茶苦茶できる開放感(ロスト・イン・トランスレーションとかバベルとか)

・男は高い声を認識できなくなり、女はその反対。

・彼女は24時間死を怖れている、男はすべての境界があいまいで、死ですらよくわからない。のに、彼女は人間の輪郭が溶けている絵を好きだと言っていた

・字幕に全角と半角まざってんの、9時30分て!許せない。

・コンプリートリーアノニマス

・恋はいいですね。観ながら「ウッヘヘヘ」って笑ってしまった

・生きていることは、曰く「招かれていないパーティに押しかけてる気分」

・「1995年のアメリカ映画です」という感じ。2050年の芸術大学の映画の授業で「1995年のアメリカ映画です」と教科書に載っていそう。

スラムドッグ$ミリオネア

原題/Slumdog Millionaire

2008年/イギリス 監督:ダニー・ボイル

出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピントイルファン・カーン


Slumdog Millionaire - Trailer

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ムンバイのスラム街で育った主人公とお兄ちゃんが成長する物語。

トレイン・スポッティング2公開を控え、あーこれダニー・ボイルなんだなーと思って気軽に借りてみたら超ウルトラ楽しかった。ミリオネアってあのみのもんたのやつでしょ、と思って正直馬鹿にしておりました。観もせずに「麻薬を買う資金が無くて一念発起、ミリオネアに出て仲間と共謀していろいろあって大金ゲット!バレる前にずらかるぜ!(デンデンデデン…♪タフボーイタフボーイ…)と逃走して終わる映画なんだろな」と勝手に信じ込んでいました。これ完全にトレイン・スポッティングですしごめんなさいと思いました。インドが舞台の映画だと知ったのも最近で、インド好きとして観てなかったのを恥じました。

クイズ番組に出て、これまでの経験から着実に正解を導いていくわけなんですが、途中で救済者を装った妨害者が出てくる。結果としてそれが妨害であることを見抜くのですが、その「信じられる相手かどうか」も彼の経験から導いた答え。うまくできています。ていうかBって普通に書いたらあそこで終筆しないし、妨害者も最初は正解を書いてたんじゃないかなと思って、ていうかそう思わせる演出だし主人公も当然そんなこと見抜いてて悲しい気持ちになってるだろうしその背景を想像したりモゴモゴ…

ストーリーそのものは最後に報われるウルトラハッピー物語。この映画を楽しめた成分の半分くらいは音楽&カーテンコールのおかげです。

ちゃんと最後にカーテンコールがあるのも救い。インド映画にとっての踊りや音楽って必要不可欠だと思っているので、長年支配していた立場のイギリス人による映画で、ちゃんと用意されていることは救済だと思いました。

■以下は作中の質問です、観ながらのメモなので違うかも。

1:映画スターに関する質問
2:インドの国章に関する質問
3:ヒンズー教に関する質問
4:詩に関する質問
5:外貨(米ドル)に関する質問
6:武器に関する質問
7:イギリスに関する質問
8:クリケットに関する質問
9:三銃士に関する質問

これらの質問を、彼はそれまでの経験を通して答えていきます。

 

▼感想を補足▼

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さよならみどりちゃん

2004年/日本

 監督:古厩智之

出演:星野真里西島秀俊岩佐真悠子、他


映画『さよならみどりちゃん』予告編

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✌('ω'✌ )三✌('ω')✌三( ✌'ω')✌

えーっとね

✌('ω'✌ )三✌('ω')✌三( ✌'ω')✌

なんで借りたんだろう。酔っぱらってたときに借りたから気の迷いとしか言いようがない。一週間前にタイムスリップできたらFタバ図書H島駅前店に直行し、レンタルDVDを棚から取った瞬間の私の胸倉を掴んで「言え!何故手に取った!数多ある邦画のなかで!何故それを手に取ったか言え!」と体を前後に激しく揺すって問い質したい。「エロそうだったので、、」とか言いそうだ、酔っぱらっても素直が取り柄である。「この映画から!面白そうな!匂いがしますか!」怒号が飛んでくる。面倒ごとからは逃げたい。周囲に人だかりが出来てきた。「いいえ…」「じゃぁ!どうして!」「すみません、借りません、すみません」「謝って欲しいんじゃない!!!何故取ったのかを聞いているんだ!!!!」完全に周りの人笑ってるし店員も笑ってる。

思えばかわいそうだ。会社の人と気持ちよく楽しく飲んだ帰りの出来事だ。ここに来るまでの電車で小さい赤ちゃん連れのお母さんに席を譲った。おりしも旧作半額デー。罪のない趣味じゃないか。原作が漫画かー、ウーン、たまにはタラタラ飲みながらこーゆー邦画みるのもいいかな、と思った矢先の出来事である。いきなり未来から来た自分(鬼の形相)に胸倉掴まれたうえに公衆の面前で趣味の悪さを罵倒され棚に打ち付けられた挙句に自分がエロ好きであることを吐かされる。途方もなく不幸だ。そして観てもエロくない。エロくないぞ。

 

<メモ>

・この映画におけるみどりちゃんは、「桐島、部活やめるってよ」における桐島といえる。

 

続・猿の惑星

原題/BENEATH THE PLANET OF THE APES

1970年/アメリ

監督:テッド・ポスト(脚本/ポール・デーン、モート・エイブラハムズ)

出演:ジェームズ・フランシスカス、リンダ・ハリソン、チャールトン・ヘストン、ほか猿など

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このポスターすごくいいですね。

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映画はその時代を映すと言いますが、言うのかどうか知らないけど言いそうだからいま適当に書きましたが、なんていうかそういうことです。

わたしは、戦争や平和について深い哲学を持っていないというか、自分の考えを持つきっかけを人生で得ていないというか。それは悪だとも善だとも恥ずかしいことだとも思っていなくて、平和な人間は平和についての見解を持ってないと思うのです。核兵器を憎み続けてそれを持っている人を非難し続ける生活と、意識しない生活。自分の子孫には後者になってほしいと思います。

逆もまた然りというか、インドの核兵器は「アグニ」という名前がつけられていて、これはヒンズー教で火の神様を意味します。皮肉にも本作品と同じ状況なわけです。彼らの国では長い争いや戦いのなかでいくつもの宗教が生まれ、やり場のない怒りと悲しみを何百万ともいわれる神様が救ってきました。その思想が行きついたところを、どうして否定できましょうか。来世にしか希望を持てない現実を生きている人々から宗教さえもを奪うことを望めますか。危険と思うことは出来ても、他人の信じるものをどうして否定できましょうか。みんな普通に出来るんでしょうか。アメリカ人は出来るんでしょうか。

これらの映画が世に出てたった50年ぱかしです。人間は何処へいくのでしょうか。

 

それはそれとして、「猿の惑星」シリーズをまとめますと

猿の惑星(1968年) ←Done!
②続・猿の惑星(1970年) ←Done!
③新・猿の惑星(1971年)
猿の惑星・征服(1972年)
⑤最後の猿の惑星(1973年)
猿の惑星: 創世記(2011年)
猿の惑星: 新世紀(2014年)
猿の惑星:大戦紀(2017年公開予定)

※⑤と⑥のあいだ、2001年にいわゆる「ティム・バートン版」というリメイク映画があるわけですが、観ない予定なので記憶から消し去りますが、未公開も含めてあと6作品あるんですね。つまりこれから70年代公開ぶんを怒涛の3連続視聴するわけです。

余暇の使い方はさまざまですが、2011年版に入った時の見ごたえがアップすると信じてこれから見続ける私はド変態だと思います。

どれがどれだったか忘れてはいけないので、メモだけはしっかり残しておきたいと思います。がんばれド変態!

 

<メモ>

・前作もそうだけど、およそ宇宙飛行士訓練を受けていると思えないほど感情的・直情型な行動をとる。「アメリカ人のイメージ」そのままの行動をとる。

・手すりを触ると音が止まる地下鉄のところ良かった。ゆめにっきみたいで

・未来人?の登場シーンがゴレンジャーみたい!色使いはどうやって決めたんだろうか、話し合いだろうか。

・言葉を必要としないニュータイプ。ミサイルを"instrument"と表現していたのが印象に残った。1回だけかも?

・よくわからないものは力づくで解決するという、ゴリラのゴリラっぽさがよく出てる。(ゴリラに知り合いいないけど)

・キラーエイプ理論(キラーエイプ仮説)というものが当時流行っていたらしい。「ゴリラはゴリラを殺さない」というせりふ。

 

☆ノヴァのおっぱいについて☆

前作・今作共通でちょっと残念な点。

ノヴァという本作のヒロイン的な人間。森泉に若干似ているもののかなりスタイルがハリウッド的で、顔もバービー人形みたいで、ボロボロの衣服なんだけどぼいんぼいんで、寝そうになるたびに彼女のおっぱいの谷間が癒しを与えてくれるわけなんですが、

あれくらいの谷間をブラジャー無しでつくることは物理的に不可能です。いわんや彼女のボロ布一枚をや。走ってるときもノーブラ感ないっていうか”何かに支えられてる特有のおっぱいの動き”なんですね。あれが残念でした。

おっぱい見せろ!と言いたいのではなくて、あのボロ布の下に化学繊維のがっちりワイヤーブラをしていると思うと(そう思わざるをえないほどホールドされていて)、ただでさえ入り込みにくい現代人は一気に醒めてしまうというか、世界観が褪せてしまうので残念でした。

走るシーンでも原始っぽさがないというかナヨっとした女走りだったり、そもそも眉毛ってナチュラルボーンでこんな整ってる?何ならアイライン引いてるよね?とか。

SF映画っていちばん大切なのは「戻ってこなさ」だと思うんです。大切というか、私がSF映画を観るときに欲しているのは「戻ってこなさ」。その世界に引き込んでほしいのです。たった2時間やそこらでいいから、畳の部屋に、映画館に戻さないでほしい。ひょんなことで戻ってしまうんだなと改めて感じます。男性や子どもは思わないかも知れない所ですが。

あー、おっぱいについて熱く語るほど平和な人間でよかったです。

ctrl.hatenablog.jp

月に囚われた男

原題/Moon

2009/イギリス

監督:ダンカン・ジョーンズ

出演:サム・ロックウェルとかわいいロボ


映画『月に囚われた男』予告編

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序盤がオシャレというか、CMで始まったりクレジットがかっこよかったり、月の世界で明暗がパッキリした感じはいかにもモノリス出てきそうでテンション上がったんですね、序盤は。ガーティというロボットもすっごくかわいい!!物理的に助けるロボって、インターステラーのガチャガチャついてくる子(お名前失念)みたいだし、ロボ好きの私は全般ガーティのお陰で飽きずに観られた。

”ここで裏切ってどんでん返しなんじゃなーい?”というピンとした気配が何度もあったがすべて杞憂。序盤でああいう設定が明かされているからには観る者のこころを裏切ってくれる何かがあると思うじゃないですか、最後の最後まで何かがあるか思うじゃないですか、なんと!なかったのです。

だいたい、そういう設定のとこに助けが来る理由って何?

 

野暮なことを書きます。

同じパーソナリティでも過程によって性質は変えられるよ、と言いたいのか。男同士助け合うのって美しいよね!と言いたいのか。資本主義社会・労働組織の在り方を問うたのか。例えば家畜業界やバイオ業界、例えばロボットの発達によって奪われる人間の労働の在り方等、何かに警鐘を鳴らしたのか。私は頭が悪いのでよくわからなかったが、誰かに感想を聞かれたら「ガーティが超かわいい!」と答えます。だってロボなのに泣くんだよ。「ガーティが超かわいい!そんなことよりインターステラー観た!?ロボットといえばあれのさ…」と話スライディングします。

 

<メモ>

・レンタル屋さんに行ってDVDを抜き出すとき「あ、この映画ほかに借りてる人がいるんだな、どんな人が観てるのかな」と想像するんですが、その人とものすごくガード下で飲みたい。

・宇宙船内部がたくさん覗けたのはたのしかった。真っ白な宇宙船とハングルの親和性はよいと思った。

プラネテス思い出した。月のはしっこまで行くシーン。月で生まれた女の子とか

藤子不二雄先生の、年代バラバラの自分どうしが5人ぐらい集まって喧嘩しちゃっていちばん小さい子が死んじゃうやつ思い出した。

・音楽づかいが致命的にダサい。

どっちがどっちだよ、ってなるけどどっちがどっちでも大勢に影響ない

・指輪をチラチラ映してるのは作為を感じる。感じたところで大勢に影響ない

・ガーティがとことん腹黒かったらよかったが、単純にかわいい馬鹿ロボットはこの時間のいろどりであった。

・邦題のダメさ加減がすごい。タイトルでこの映画説明してしまっている。

・予告編でだけアヴェマリア流すのはなぜだ。詐欺だ。

・すごいディスってるけど宇宙の映画は基本的に楽しい。観なくても大勢に影響ないけど楽しかった。

監督失格

2011年/日本

監督:平野勝之

プロデュース:庵野秀明

出演:林由美香平野勝之


『監督失格』予告編

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故人である林由美香さんの、生と死についてのドキュメンタリー。

閉じた関係のなかで、監督の平野氏が撮影した膨大な動画を通して観る林由美香さんは、とても真面目で素直で、捉えどころのない孤独な女性にみえた。

 

由美香は監督のことが好きな瞬間なんか無かったと思う。監督は由美香が好きなことがとてもとても伝わってきたが、彼女の言動からは一度も伝わらなかった。

この映画からはどうしても恋愛の匂いをかぎ取れなかった。会話からは嘘の匂いしかしなかった。感じたのは、林由美香さんの不安定であざやかで孤独な生と、死による喪失と解放。

 

<メモ>

・愚痴を言ってしまったと後悔し「メロンとどいた?」と言ってしまう優しさが哀しい。

・北海道から帰る電車のシーン。監督が謝るところ。由美香の顔(あのシーンを観て、由美香が監督を好きだと思う人はいないと思う)

猿の惑星

原題/PLANET OF THE APES

1968年/アメリ

監督:フランクリン・J・シャフナー(脚本/マイケル・ウィルソン、ロッド・サーリング)

出演:チャールトン・ヘストンと猿たち

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ストーリーも結末も知っているが観たことがなく。

創世記とかを観たいな、と思ったのでどうせなら初めから!と思い手を伸ばしたが、50年も前の映画なのだと改めて実感。1968年って50年も前!?計算あってる!?あってる!

ベトナム戦争とそれを取り巻く人種差別問題、左翼活動、のなかでうまれたヒッピーブーム、ウーマンリブ・・・、当時この映画はセンセーショナルだったんだろうな。特に序盤、アメリカ合衆国国旗がやたら目につく。1968年といえばビートルズがインドに行ったりしていた頃。

言葉が通じるのに意思疎通が出来ないというのは本当に恐ろしい。言葉が通じないより恐ろしさは増す。戦争なんか最たるもんかもしれない。

藤子・F・不二雄先生の異色短編集のなかの「ミノタウロスの皿」を思い出した(あれらは海外のSF作品から大いにインスピレーションを受けているのだろうけれど、私にとっては漫画のほうが先だ)。ウスたちのなかでくらす人間たちは言葉が話せたけれど。あれはいい漫画なんだよな、さいご泣きながらちゃんと食べるところがね。話が逸れたことを謝る義理はないね?

正直に申し上げて、やっぱりちょっと古い映画は観るのがしばしば辛い。眠くなる。が、結末のところは、知っていたにせよやはり衝撃だった。われわれは、逃げても逃げてもお釈迦様の掌のなか。

 

<メモ>

・宇宙船でタバコ吸ってる!

・そういやプラネテスでも吸ってたな姉さんが!

・宇宙船のベッドんとこ、中銀カプセルタワービルみたいでかっこいい!(考え方が逆かもしれない)

・3人の制服が機能性ゼロ。水たくさん吸うし伸縮しないし

・もいじゃうのかよ!お花、もいじゃうのかよ!やっと見つけた生命の息吹、もいじゃうのかよ!そして3人でお花囲んじゃうのかわいかったよ!

・ヤッホーって泳いでて服持ち去られちゃうのアメリカ人ぽくてかわいい

2010年

原題/2010: The Year We Make Contact

1984年/アメリ

監督:ピーター・ハイアムズ

出演:ロイ・シャイダージョン・リスゴーヘレン・ミレン


2010: The Year We Make Contact - Trailer

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2001年宇宙の旅を観た人が観ていない確率はかなり高いと思う、私もそのひとりだったわけだがフト思い立って観てみた。

ディスカバリー号に入るときのドキドキわくわく感はすごかった!まるで博物館に一緒に入らせてもらえたような。HALを殺すシーンで泣いた10代の私はHALを修復するシーンで泣く30代になれた。

SALの「私は夢を見ますか?」の質問に「知的に高度だから見るよ」と返した博士は、HALにはちゃんと向き合って「わからない」と言ってあげています。噓をつきたくない愛がそこにある。そしてHALはボーマンに会える。

HAL9000が好きな人はそれだけで単純に楽しいと思う。

 

 

<メモ>

・看護婦が読んでるTIME誌の表紙、アメリカVSソ連で、それぞれの大統領がキューブリックとクラークだった!公式レベルでいじられている。

桐島、部活やめるってよ

2012年/日本

監督:吉田大八

出演:神木隆之介橋本愛東出昌大


映画『桐島、部活やめるってよ』予告編

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よくわかんなかったねー、で終わりそうな映画だけど大変素晴らしかったそして私は好きである。実際「よくわかんなかったねー」と思ったんだけど、見終わってかみ砕いているうちにこの映画の怖ろしさに支配されてきている。

原作は未読だがタイトルも素晴らしいじゃないか?「桐島、部活やめるってよ」。AさんがBさんに聞いたことをCさんに言っている、という実態のなさ。うわさでありながら「やめるらしいよ」でなく「やめるってよ」。やめることは確定している、うわさなのに。このタイトルだけで深く考えるものがあった。

ラ・ラ・ランド

2016年/アメリ

監督:デイミアン・チャゼル

出演:エマ・ストーンライアン・ゴズリング


La La Land (2016 Movie) Official Trailer – 'Dreamers'

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終始、一貫して小気味良いテンポとカメラワーク、そして音楽!
長い映画だが一度も退屈を感じなかった。今年の始まり(といっても2月も終わりだが)をこんな素晴らしい映画で迎えられたことに感謝である。
んで、サントラも買ったのだが、イヤホンで聞きながら歩いていると普通に踊りだしているものだから困っている。

<メモ>
・最初のカメラワークよ!
・靴を履き替えるところ最高。

 

■町山先生大いに語る


【必見】町山智浩「ラ・ラ・ランド 原題 La La Land」たまむすび