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ミスト

2007年/アメリ

監督:フランク・ダラボン(原作:スティーヴン・キング

出演:トーマス・ジェーンローリー・ホールデンアンドレ・ブラウアー、ネイサン・ギャンブル、ほか


映画 ミスト 予告編

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ものごとを良くしよう良くしようと画策するものの全部裏目に出てしまう映画。

ネットなどで「後味が悪い映画」「胸糞悪い映画」としてよく名前が挙がっているのでだいたいストーリーを知った上で観た。で、マイナスイメージからの視聴だったので期待値も低かったんですが、裏切られました。非常に面白かった。面白かったというか適切な言葉が浮かびませんが、いままで観てなかったのを悔やんだ。それくらい心にショックが残りました。

霧のなかからこの世ならざるモンスターがたくさん出てくるんですが、それは本筋とは関係なくて、「あり得ない事態にどう対処するか」に主眼を置いた映画です。感情で動く人と理性(論理)で動く人が交錯して、自分だったらどうするか、といちいち考えてしまい感情がぐらぐらします。

人を助けようとすればするほど犠牲者が出てしまう。本当にどうしようもない自業自得で死にかけの怪我して、その人を助けるためにいろいろするうち数人死んで、そんで命からがら薬を持ち帰ったら怪我人があっけなく死んでたりして、感情のやり場がない。でも自分もその場に居合わせたらカリスマ性のあるリーダーに従うと思うので、「犠牲者もやむなし」「自分は間違ってなかった」と思ってしまうと思うのです。一方で、主人公と敵対する一派というのが組織されてくるんですけど、その一派が生贄と称して人を殺してしまう事については「やむなし」と到底思えない。それで多数の人心が落ち着いているのにも関わらずです。善悪の判断がものすごく揺らぎます。

問題の最後のシーンですが、それも「やむなし」「間違ってなかった」という気持ちが自分のなかに半分残ってしまう。

この映画からは何かを学ばなくてはいけない気がしてどうしようもないです。

「あの時ああすればよかった」「諦めるポイントを判断する」「どこまで直感で動けるか」「どこまで理性で動かずにいられるか」…いろんな思考が浮かんでは消え、またいつかふと思い出すと思います。

<メモ>

キリスト教が根付いている国の人が観たらまた違う感想なんだろうな、とちょっと惜しい気持ち。この気持ちはアメリカ映画を観たときわたしに多々もたらされる。隣人であることもちょっと意味があるんだろうなとか。

・準主役の金髪の女性がイトコにめっちゃ似ててなつかしかった。

・カメラワークがなかなかすごい。スーパーの中で人間模様を描くシーン。キューンっていきなり寄ったり。ブレまくったり。複数台のカメラで遠くから・近くから、と撮影していたそうだ。

・ホラー映画における死亡フラグがへし折られた!