バクマン。

2015年/日本 RT/120min

監督:大根仁(原作:大場つぐみ小畑健

出演:佐藤健神木隆之介小松菜奈山田孝之ほか

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高校生二人組が漫画を描いてジャンプの頂点を目指す映画。

 さいしょにお伝えしときますと、わたしはこの原作が大好きです。たいへん面白い漫画です。よくジャンプで連載してたよな、と思わずにいられないのですが「ジャンプというビジネスそのもの」と戦う少年のまっすぐな努力が描かれていて、会社員が読むと元気がもらえる漫画です。とりわけ一番好きなのは「終わり方」です。人気があると無限に引き伸ばすのが少年漫画(らしい)ですが本当に序盤の約束がきっちり守られるところで潔く終わっており、心から、いたく感動しました。

がっかりするのは承知のうえで、神木隆之介も好きだしヨ~と期待しないで観てみた感想をひとことで言うと「がっかりっていうか、面白くないことはないけどこれはバクマンじゃない」という感じです。深く考えてみたところ、この映画は『原作と別物』という結論に達しました。

この映画は「友情・努力・勝利のみを描いており、長い漫画を2時間の映画にするために、それ以外の要素を潔くばっさり切っています。中途半端に説明するくらいなら最初から出さないし、小松菜奈にも途中で去ってもらうという潔さです。そしてバトル部分のウエイトを大きくするため、開始後15分?くらいで手塚賞を獲ります(!)。これは、原作を未読の人が映画を観ることを考えたときの選択の一つなんだろうなと思います。近年、長い脚本を2時間に詰め込むために役者に早口で喋らせる手法(シン・ゴジラとか、最近観たゾディアックもそうでした、結構多いように思います)がありますが、そういう事もなくノンビリしたシーンも多くて良い言い方をすると緩急がついてたと思います。

この映画はキャスティングより先に音楽が決まっていたそうで、全体的に(音楽こだわってるナー)と伝わってきます。しかし原作の漫画から感じた疾走感・スピード感はなく、なんか眼科の待合室のテレビで「眼精疲労に効果のあるマッサージ」という眠いテキストと一緒にポワ~〜と流れてるぬるい音楽みたいなのが熱いシーンで流れてたりして若干謎です。絵だけなのに、漫画のほうが疾走感を感じるって不思議ですね。

原作と映画は別物だった、という感想を持ったうえでやはり残念だったのは、ラストの違いです。わたしが原作の漫画を読みながら常にどろどろと感じていたのは「自立」という孤独なキーワードでした。主人公のふたり、ほかのジャンプ作家、そして亜豆さんたちは、「自分のやりたいことをやるために何かを犠牲にする」「他人の不幸のうえに自分の成功が成り立つ」「依存しあった関係は必要ない」「自分の夢を叶えられるのは自分だけである」という信念を持っていました。どろどろした黒いものとまっすぐに向き合う少年たちと、負けそうになったときに支えにしている存在(亜豆さん)。このあたりが全く描かれていなかったことが、潔くもあり残念でもありました。

▼この映画でいちばん熱く感動した部分の写真を貼っておきます。エンドロールの最後です。主人公たちの仕事場の本棚なのですが、画面が右から左に移動していくにつれ、なんかタイトル違くない?と思ったらいつのまにか全部スタッフロールになってるんですよ、すごいですよね。載せきれないけどすごい楽しい、巻き戻して何度も観ました。ここが一番楽しかったです。

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<メモ>

・ホームルームで進路についての面談用の紙を配る教室のシーンで始まる、そして神木隆之介がまたメガネでオタク役、ということで「桐島、部活やめるってよ」を観たくなりました。

・男キョウダイがいないのでジャンプ本誌と関わらなく育ってきたので、発売日の描写(子ども、サラリーマン、高校生、トラックの運転手など様々な男性が様々なシチュエーションで楽しそうに読んでいる)が面白かった。なにかを待ってワクワクする生活はいいですね。りぼんとかは月刊なので、また感覚が違う気がする

・キャスティングがかなり良いです、リリー・フランキー以外。わたし、リリー・フランキーはもう飽きました。