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パッセンジャー

2016年/アメリカ  1H56min

監督:モルテン・ティルドゥム

出演:ジェニファー・ローレンスクリス・プラットマイケル・シーンローレンス・フィッシュバーンほか

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独りが寂しいから寝てる人起こした後いろいろあって宇宙船の内部をフサフサに覆う映画。ザッツ・ハリウッド映画!

 すッばらしいほどに面白いハリウッド映画!ほんとに「面白い映画みたいナ~」という感情の凹みにピッタリな凸型でした。こういう色んな感情(スリルありラブありヒューマンドラマあり)や、撒かれた伏線がすべてスッキリ解消される映画は、後味が良いぶん内容をすぐ忘れがちです(私の場合)。そしてストーリーが面白かったので、備忘のために書きます。

==========【ストーリー】宇宙船でコールドスリープから偶然起きてしまった(起こされてしまった)男女がいろいろしながら暮らす話。男が起きた時点で、目的地まで90年かかる位置。ちなみに寝ている乗客(移住目的)は5,000人いて、乗組員も寝ている。宇宙船はめちゃくちゃ広い。乗組員が寝ている部屋や中枢機能部分には権限不足で入れない。悩んでもしょうがないし、ふたりはバスケしたり泳いだり映画みたりダンスしたりバーで飲んだりする。しかし亀裂が発生。「男は、女を意図的に起こした」という事実を隠していたのだが、「私達のあいだに秘密はないのよ」という女の発言を額面通りに受け取ったバーテンダー型ロボットが(ア、ソウナンダー)と納得して「あのとき、すごい美人だから起こそうかどうしようかメッチャ悩んでましたよねー」とかって普通にバラしてしまう!女は激怒!殴る蹴るの暴行!誰がどう考えても相互協力してほしいシチュエーションだが無視の連続!バー通いも曜日制を導入!まったく仲直りの気配なし!「どうなるやら…?」という設定のところへ、なんと乗組員のおじさんが一人早起きしてくる!しかもアドミニ権限者!ヤッター!おじさん無双のはじまりだ!と期待するものの、おじさんは体調不良ですぐ死ぬ!しかし2人はアドミニ権限の腕輪を手に入れた!おじさんありがとう!…そしていろいろあって船は直る。で、これからどうしようか、というところでラストは90年後。============

面白可笑しく書きましたが、面白いだけじゃなくて映像がとても綺麗。公開時に観たアネも言ってたんだけど、キューブリック映画へのオマージュが随所に見て取れる。宇宙船のフォルム、宇宙空間にレフ板持ったスタッフがいない撮影方法(パキッとした明暗)、シンメトリーな白い画面、丸い通路、機械の基盤のカタチ、唐突に現れる豪奢なバーやレストラン…単純に楽しいです。あとたぶん主人公の部屋の後ろの壁紙とかにある模様はオーバールックホテルだと思う(参考)。

宇宙船が壊れかけのとき、人工重力が無効になって無重力になるシーンがあるのですが、そのタイミングで女がプールで泳いでるんです。プールが無重力になるとこは凄い!水がぶわーって浮き上がって泳いでも出られない、観てるこっちの息が苦しくなる。重力が戻る映像もすごい!

生きるか死ぬか…というシーンがあっても、「絶対帰るだろ、ハリウッドだからな」「ここでヒモちぎれるだろうけど大丈夫、ここはハリウッド」と安心して観ることができました。とにかく素晴らしい映画でした。一つだけ残念だったのは音楽です。スリリングなシーンとかピンチのシーンで流れる音楽が個人的に好きじゃなかった。あと、最後の船外活動のとこ、ゼロ・グラビティパク過剰に愛しているのが伝わってきました。そういうのも楽しかった。

ちなみに今回は久々にFタバ図書H島駅前で借りてきたのですが、「以前再生不良があったようですみませんでしたと伝えて下さいと引き継ぎノートに書いてありますのでこれ差し上げます」と旧作無料券なるものを1枚くれました。ものすごく適当な管理なのに機能しててすごいっていうか、それもちょっと面白かったです。たまにはお店に借りに行くのもいいですね。

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<メモ>

・女がリアリスト、男性がロマンチストに描かれていた

・髪型や化粧、ファッション(いかにもファストファッションというかんじの)て時代を映すんだろうな、10年後に観たら機械や映像技術よりもそれらのせいで古く感じてしまいそう。いま観てる我々はリアリティを感じてよいのだけど。

・人間、だめになると部屋が散らかりますね。

・268という部屋番号の数字、なんか意味あんのかなと調べたら意味ありました。全部の数字がそうなのかな

宇宙旅行が一般人も行けるようになったら、こんな船内かなと想像しました。部屋のクラスによって選べる朝ごはんが違ったり(こういうのがほんとに面白い)、ビデオレター送信が1回10万円くらいしたり(しかも返事は50年後)、展望デッキがあったり、娯楽施設など(DDRみたいなダンスゲームとか、バーとか、潜ったら宇宙空間が丸見えのプールとか)。おそうじロボットがウロウロしてたり。

・ラストシーンで楳図かずお先生の聖典である「14歳」を思い出した。ラスト近くにああいうシーンがあった。あと船外で手をつなぐところは日本人なら誰しもプラネテスを思い出してしりとりしたくなる筈だ。

 

▼再生不良の映画です