ROOM237

2012年/アメリカ 104min

監督:ロドニー・アッシャー

声の出演:何かの専門家の皆さん

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スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」が好きすぎて、死ぬほど観ている人たちの(こうだったらいいなぁ)という妄想で構成されている映像作品。ドキュメンタリー映画というカテゴライズではありますが、特に何かを追ったドキュメンタリーの要素はありません。

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 これを借りて観ているくらいだから、私は「シャイニング」が大好きです。この作品は賛否両論(とくに否)が激しいのですが、「この映画が好きすぎて、取り憑かれている人々によるもの」というのが始めから終わりまで根底にマグマのように流れていることが熱っぽく伝わるので、キューブリック作品とシャイニングが両方好きな人は楽しめるんじゃないかと、個人的には思います。(シャイニングが好きなだけだと、ちょっと辛いと思います。)

 そういう感じで、わりと好意的な立場として観始めたものの、途中「かなり無理がある…」と感じる部分が何箇所かありました。無理があるっていうか酷いこじ付けすぎて、爆笑しちゃったり、自分がおかしいのか…?と不安にすらなりました。「ひとつの映画観過ぎるとこうなっちゃうよ」という小粋なメッセージでしょうか。

▼雲の合間に監督の顔が見えるそうです

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ただ、何でもそうですが「好きすぎるから。以上」という理由で突き詰める事は素晴らしいですね。一番感動したのはオーバールックホテルの間取りの検証。

▼いろんなイベントが発生した地点を検証している

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▼ダニーの三輪車シークエンスは3回あるが、3回目は1F→2Fとワープしちゃってるそうだ。言われてみれば確かに

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また、原作(スティーヴン・キングの同名小説)を殆ど無視して作っており、原作で出てくる設定の車を雪道の事故でポシャらせてたり、キューブリックの性格悪い伝説も伺い知れました。こういう「ほー」と思えるところは本当に楽しく観ました。

 しかし、この作品に出てくる彼らは、しつこくコマ送りや逆再生で鑑賞し、長い年月をかけて希望的な主観のみでの研究・考察を繰り返した結果「サブリミナル効果に塗れた映像だ」「アポロ計画への加担、その精神的負担から逃げるための映画だった、我々に”気づいてくれ”とメッセージを送っている」「性的メタファーに溢れている」「アメリカ先住民族を描いた映画」「ホロコーストを描いた映画」等々の結論に至ってました。5人くらいの人がそれぞれインタビューに答えるような形式なんだけど、この5人で居酒屋に集まったら楽しそうだな、集まれよと思いました。それが現代ではネットで出来るんだけど、皮肉にもネットの有名考察サイトには取材を断られてたりしてかわいそうだった。

ただ、個人的には「アメリカ先住民族と”アメリカ人”」はテーマの一つだと思います。支配人は明らかに誰ントン大統領だし、会話や画面の随所に出てくるしウェンディの服装でも度々表現されている。あと、ダニーのアポロのセーターも、あまりにも唐突!と思うんです、何か意味はあると思います。何度観ても「唐突!」と思ってちょっと笑う。月面着陸の撮影云々は全く真実だと思っていないですが、あのセーターに全く意味がないとは思わない。

▼例のカーペットがアポロの発射台に酷似しているというのは鳥肌ものだった、がソースもなく正しいかは不明。

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 毎回、文章をなるべく短くしようと努力しているんですがこの映画については駄目です。作中で「彼の作品は、”何かを見逃している気がして何度も観てしまう”」と言っている人がいましたが、まさしく。何かを見逃している気がするこの感じ。「シャイニングが好きなだけだと辛いと思う」と書いたのは、「キューブリック作品が好きという自覚がある人」は大体おたく(掘り下げたい)気質なので、その気質が無いと辛いという意味です、私も掘り下げたい欲の塊なのですが、正解を見つけて納得することを映画に求めていないというか、わりと感覚で楽しみたいんだと思います。そしてこのエントリはシャイニングの感想じゃないのでもう止めときます。

この「ROOM237」は「正解を語る人がこの世にいない」点が、今後も議論の白熱を呼ぶのでしょう。創り手の望みどおりなのだろうな、愛に溢れた映像作品でした。ただ、一番知りたかった点(着ぐるみ男は結局何なのか)については一切話題に出てこなかったのでした。

 

▼それはないだろ…を面白可笑しく説明している動画

▼イギリスのTV局の「キューブリック一挙放送」みたいなやつの名作CM。


本当にこれ大好きで今回あらためて観たところ、ポスター、絵、助手の服装や仕草…愛に溢れすぎてシャイニングのメイキングを完コピしてるレベル。あぁ、掘り下げたい。