ベイビー・ドライバー
2017年/アメリカ・イギリス 113min
監督:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、ジェイミー・フォックス、エイザ・ゴンザレス、ジョン・ハムほか
音楽に乗せて運転しまくる、愛の詰まったドチャクソ面白い映画!舞台はアトランタ。
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ここ最近私の中で熱狂的な支持を集めているエドガー・ライト監督のハリウッド進出作。
住んでいる街の映画館事情は微妙で、いつまで経っても近辺に来る気配がないので私は唐突に痺れを切らした。定時退社をして電車とバスを乗り継いで、辺鄙なモールにあるシネコンまで観に行った。熱心である。おりしも水曜日、レディースデーということで1,100円で鑑賞。これは絶対映画館で観たかったので、音響の良い(でかい)映画館へ行って良かったです。
それはもう、それはもう、超面白かった。
カーアクションあり銃撃戦ありラブありロマンスあり、でその全てが音楽に合わせて編集されていて、全身の細胞が沸き立って入れ替わったような感覚!
特に(ウワァ~)と思ったとこはタイトルクレジット部分、銀行強盗のあとコーヒー買ってアジトに帰るまでの長いワンカット。BGMの歌詞が背景にさり気なく落書きされていたり超たのしい!フワァ~と口に出た。あと、”サイドブレーキ!シフトレバー!アクセル!”を一気につなぐ編集。すべての銃声やドアや身振り手振りがぜんぶ音楽に嵌まるように作られていて、映像が楽譜みたいだった。武器商人とのやりとりのとこでのテキーラは素晴らしかった。
また、主人公と女の子の恋の描写も素晴らしかった。どんな形や状況であれ、一瞬であっても、夢が叶うところは切実で良かった。(5年後、ちゃんと叶うのだろうけど)ほんでこの主演の男の子がはまり役というか、すごい良かったです。
観る前は『とっても楽しみだな』とニコニコしていたし、観終わった後も『ドチャクソ楽しかったな』とニコニコしていた。観終わったひとみんなニコニコしていた。
ちょっと悲しいことに、物凄くスカッとしたので物凄くスカッと忘れそう。でも、気持ちや細胞がいったんカラになるというか、完全にスカッとする素敵な時間を過ごせた。素敵な時間を過ごせている人々に囲まれて観れたことも素敵な映画だった。あしたからも頑張ろう、と思えた。
と同時に、この作品は正規料金、いやもっと、自分のもらった価値と同じ金額を支払いたかった。映画館は「自分が払いたい金額を後払いで払う」制度にしたらいいのにな、と思った。もちろん原価割れしない最低料金は必要だろうけど。
「いい映画を安く観れて得したな」という気持ちは一切なくて、「もっといいものを創り続けて、うちの近くでもやってほしいし、日本での公開を続けて欲しいので、この気持ちをお金を払うことで伝えたい」と思った。観終わった直後のテンションだったら5,000円くらい払ってたと思う。そしたら本当に面白い映画が評価されて増えていくような気がしたけれど、この考え方は商業映画界のしくみには通用しないのかもしれない。
いまはTwitterとかで気軽に創作者と繋がれるけれど、そういうのは違う。アートじゃなくてデザイン、部活じゃなくて仕事。映画を作るのにはお金がかかる。お金で応えたい。なんとかならんか。「映画館に行って、映画を観る」しか私に出来ることはなさそうだな。そんなことを考えた帰路。バスの車窓からは全ての車が止まって見えたのだよベイビー。
▼タイトルクレジット前の6分間。これ観て、あぁ映画館で観て良かったと心から思った
<メモ>
・主人公と育ての親(聴覚障害者で、2人の会話は手話)の家のTVで色んな映画が映っていた。特に「ファイト・クラブ」「モンスターズ・インク」は台詞が影響しているような気がした。
・エドガー・ライトは、アメリカにいるあいだタランティーノの家にいるそうだ(謎)。タランティーノの映画熱弁に割り込めるのは彼だけだと何かで読んだ。
・タイトルクレジットのとこと郵便局、ロケ地行きたい。
・iPodが重要なモノとして出て来る映画なんだけど、それはそれとしてスポンサーのプロダクトの出し方が上手い。ハリウッドだな、日本企業が少しでも貢献できているならこんなに嬉しいことはない。
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▼やっぱり町山さんの解説があった。作中使用曲がすべて書いてあって嬉しい。
▼いま本国で話題沸騰中らしい「IT」と、「猿の惑星」新作がとうとう…。そういえばこのために1作目から観始めてたんだった、公開までに頑張って観なくちゃと思いました。こういう情報を得ることが出来るので、やっぱり色んな映画館へ行くのはいいなと思いました。