セブンス・コンチネント

1989年/オーストリア 104min

監督:ミヒャエル・ハネケ

出演:ビルギット・ドル、ディータ・ベルナー、レニ・タンザーほか

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物質的な社会に生きる家族が決断をする映画。子役がめっぽう可愛くて目がハートになる。ものすごく不安になる映画で、実際にあった事件を元にしているそう。ミヒャエル・ハネケ監督のデビュー作品。

 

ガソリンスタンドにあるような洗車機で、車を洗っているシーンから始まる。車内で待っているのだけど、押し黙っているし真っ暗だし大きな音がするしものすごく不安になる。このものすごく不安になる感覚は最初から最後までずっと続く。

いろんなものに囲まれた暮らしのなかで、大したきっかけじゃないのに『急に何もかもが揺らいでしまう感覚』『一気に失ってしまいたい感覚』は誰にでもあると思うけれど、それを物凄く見事に描いている映画。具体的にそれをあぶり出すために”手元”を物凄く丁寧にしつこく撮っているのが印象的でした。

この映画は、実際の事件をもとにしているというわけなので、『あらすじ』について考えることは深い意味がないんじゃないかと思います。監督による大変しつこい『行為の描写』を通して、『どうしてそういう描写をしたのか』を思い巡らすことで、この事件のきっかけについて、監督の解釈を想像するしかないと思いました。

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事件の報道があった時、子どもが死ぬことよりも、家財を破壊していたことや、遺書の内容、全財産をトイレに流したことのほうが余程理解できずセンセーショナルだったのだろう。そのあたりもていねいに(=時間をかけて)描かれていた。

これはミヒャエル・ハネケ監督のデビュー作だそうだが、当時47歳。これからのキャリアを考えないことも無かっただろうと思うけれど、どうしてもこの映像を作らざるを得ない切実な感情を持ったのだろうなと、ヒシヒシと伝わってきました。

内容いかんを置いといても、私はきっとミヒャエル・ハネケ監督の映画が好きなんだと思います。いままで観ずにとっておいて良かったです。