ベニーズ・ビデオ

1992年/オーストリア、スイス 105min

監督:ミヒャエル・ハネケ

出演:アルノ・フリッシュ、ウルリッヒ・ミューエ、アンゲラ・ヴィンクラーほか

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男の子と両親が分かり合えない映画。観る者の倫理観を問われ、「どうしてこうなった」「じゃあ自分ならどうするか」と深く考えてしまう。ミヒャエル・ハネケ監督の劇場公開2作目で、これも実際の事件に着想を得て制作されているそう。主人公とお父さんは5年後「ファニーゲーム」にも華々しく出演する。

スタンガンで虐殺される豚の映像に魅せられた少年・ベニーは、ある日面識のない少女を衝動的に殺害してしまう。事件を隠蔽するために両親が選択した道とは…。

なんだこれは…。

またしてもハネケ監督の丸投げクッキング*1。これは酷い。これは酷いものを観た感。私はこの映画をとても凄いと思ったし、結構好きな映画になりましたがとにかく内容が酷いです。どうして酷いのか説明しようとすると自分のモラルや説明が面倒な感情と向き合わざるを得なくなり、もうそれが嫌です。嫌なので書かないことにします。発覚のあと、おかあさんは恐怖のあまり怒るでも泣くでもなく笑ってしまうのだけど、なんだかわかるような気がしたし、リアルで物凄く怖かった。

で、観ていて気になった小さい演出があったので書いておきます。

 作中では非常に「アメリカ」を意識させるような物が随所に描かれているんですが、それが何故か分かりませんでした。食事、ペプシコーラアンディ・ウォーホルの大きな絵、映画、漫画(ご丁寧にドナルドダック)、ミッキーマウス、音楽…

アメリカのありかた、というものを意識させようとしているのだろうか?単純に銃社会について?とかと思ったけれど、この内容でそれは余りにも小狡いというか意地悪が過ぎるんじゃなかろうか。

 映像の中の映像がたびたび出てきて、それが戦争とか犯罪のニュースだったりするんですが、歴史に関する知識がないので全く関連付けができず。

 主人公が几帳面に描かれていること。これはもしかしたら富裕層であることの表現のひとつかも知れませんが、死体を引きずるシーンとかで丁寧すぎるほどの演出がされていたので少し気になった。

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お姉さんが変な博打?ゲームをやってるんですが、それが儲かるらしいと話しているラスト手前のくだり。あそこの両親はほんと酷い。でも、ここがどういうふうに酷い、と説明してしまうと自分の倫理観をさらけ出す事になりそれが大変怖い。

事態の善悪を別にしてですが、最後にやっと『彼の人生が彼のものになった』という感想を持ちました。観てよかったし割と好きな映画。

 

 さすがにハネケもたれ*2してきた感があり、作品に共通した映像のクセのようなものが強くあるので一気に観ると何作かが混じるような感覚があります。ちなみにハネケ監督の映画で夫婦が出て来る時は「ゲオルグとアン」と名前が決まっているそうで、今後そのあたりも記憶が混ざる要因になりそうです。でも名前が一緒って面白いです。ていうか、「隠された記憶」の犯人ベニーでよくない?

 ▼人をダメにするソファ

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*1:解釈は観た人にすべて任せます、という映画

*2:ミヒャエル・ハネケ監督の映画に飽きること