スリー・ビルボード
2017年/アメリカ・イギリス合作 115min 原題/Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ジョン・ホークス、サマーラ・ウェイビングほか
ファッキンワイルドなお母さんが殺された娘の捜査をしっかりしてほしいので看板を設置して色んなものと戦う映画。原題のとおりミズーリ州が舞台で、南部でお察しのブラック・コメディ要素が強い。ツナギを着たり刈り上げたりバンダナを巻いたりしているが雑貨屋さんで働いている。
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道にあるでっかい看板3枚に広告を出し、殺された娘の犯人逮捕を世間に呼びかけるファッキンワイルドお母さん。
"RAPED WHILE DYING" (強姦されながら死んだ)
"AND STILL NO ARRESTS?"(まだ捕まらないの?)
"HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?" (ウィロビー警察署長、どうして?)
という真っ赤なみっつの看板が建てられるのですが、まぁコレのせいで酷い嫌がらせを受けます。警察官、教会関係者、マスコミ、元夫などから脅されたりしながら大バトル。罵る殴る蹴る火炎瓶で警察署を燃やすわ看板を燃やすわ窓から人間ぶん投げるわで、とにかくそのあたりは単純にスカッとするし面白い。警察の腐敗っぷりには少しイライラするのだけど、かなりの差別主義者の集まりとして描かれていて、しかも警察署長が黒人に変わった瞬間あっさり言動が変わったりと、逆説的に溜飲が下がるような思い(をするような描かれ方)。何年ごろを舞台にしてるか明確に出てこなかったけど、黒人や障害者、同性愛者、移民に対する差別表現はまぁ結構酷いものです。
警察署長がガンで死んでしまう前後、家族の一日や手紙はやっぱり心に来るものがあったし(いちばん印象に残ったシークエンスだ)、くそやろうのクセに『国語が得意じゃなかったけど、ちゃんと言葉で表現するべきだ』などと言うトコは結構響いた。けど、全体通して見ると『なんでアレああいう設定なんだろ』と思う部分が結構あるが、細かいことは気にしないでいいような気もする。
話が進んでくうちにくそやろうが改心したりとかし始めて、これサスペンスじゃなくてヒューマンドラマなんだと気付いた。けっこう笑っちゃうようなシーンが多く、映画館でもクスクスと声が聴こえた(そういうのは好きだ)。とにかくお母さんがワイルドっていうかムチャクチャで、っていうかお母さんだけじゃなくて登場人物が殆ど瞬間湯沸かし器っていうか「ムカついたら物理攻撃に出る」という怒りのデス・ロード状態で、けっこう観ててスカッとしました。
けど最後、なんだろ。罪を憎んで人を憎まずっていうか、もうここまでやっちゃったから目についたもの全ては行動に出さないと収まりがつかないのだろうか。考える前に行動するって事なのか、なんか気持ちはもやっとするものがありました。
▼サマーラ・ウェイビングさんのスットコドッコイな役柄がすごい良かったです
▼アイロニカルなニュース。