冷たい熱帯魚

2010年/日本 146分

監督:園子温

出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか神楽坂恵梶原ひかりほか

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キャスト全員に何かが舞い降りている、とにかく熱量が凄い映画。勢いオブザイヤー。園子温監督による、実際の事件をもとにした映画「家賃3部作」の1作め。

死別した前妻の娘と現在の妻。その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、ついに娘の万引きという非行を招く。スーパーでの万引き発覚で窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのはスーパー店長と懇意のある村田だった。村田の懇願により店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、娘をバイトとして雇い入れる。その親切さと人の良さそうな男に誘われて、社本と村田夫婦との交流が始まる。

しばらくして、利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」と知り、同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった。(Wikipediaより)

長いよな…。と躊躇っていたものの、久しぶりに店舗に行った勢いでレンタル。

もう、ものすごい熱と死に物狂いの勢い。圧倒された。グロいとか痛そうとか酷いとか色々そういうのはあるんだけど、そういうのがどうでもよくなるほどの演者の熱がとにかく凄い。さぞかし現場は凄い緊張感だっただろう。

園子温監督作のレビューを読むにつけ「勢い」という単語が頻出なのが気になっていたんだけど、ああこれかと一瞬で納得。膨大な台詞の量もあいまって、「観る」ではなく「観させられる」というような感じ。

電子レンジが汚いのとか、Aコープとか、雨のなか軒先で煙草吸う奥さんとか、「覚えあるわぁ」という小さい演出が多い。雨で蒸されたアスファルトの匂いまで漂ってきそうだった。あと、最初に魚の商談に同席させられるシーンで、さりげなく毛布とロープが後ろにずっと入り込んでるのがやばかった。もう観ながら「アカンアカンアカン」と唱えてしまいました。そのあとの畳み掛けるような展開、こんな映画観たことないです。あと証言を練習させられるとことかも、何と表現したらいいか分からない気持ちになるのですよね。とにかくでんでんなんですよね。彼の言動はいちいち全ての日本人に何かしらの追憶とか不快感を与えるものだと思うのです、本当に凄かった。

一方で、お父さんがサラリーマンぽいとこ(自営業であんなタイプの人見たことないしいまいちピンと来なかった)とか、最後のお父さんご乱心の巻のときに「それ台詞で説明すんなよぉ」みたいな腰砕けもあった。笑い出したいような憤慨してるような感動してるような、例えるなら一緒に買い物行った友達とショップ店員さんがなぜか結託して物凄い勢いで似合うと褒めちぎってきて、気がついたら4万円のスカート買ってた後のようなそんな浮いた気持ちが最後に残る映画。

チーズタッカルビとかてりやきダブルマックバーガーとか沖縄のでっかいステーキとか、そんな感じの熱量です。