エレファント
2003年/アメリカ 81分
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:アレックス・フロスト、ジョン・ロビンソン、エリック・デューレン、ほか
コロンバイン高校銃乱射事件を描いた映画。カンヌ国際映画祭パルムドールと監督賞を同時受賞(史上初めてだそう)。
暴力を描くにあたり、ヴァン・サントもクラーク同様、都合のいい容易な説明をあえて避けた。10代の若者たちが抱える表現を拒む不安、理解しがたい苛立ちなどと同等のものとして、学校内での暴力を扱っている。
プロの役者は3人、しかも“大人”のみである。生徒はすべて、実際の高校生3000人からオーディションで選ばれた。セリフや役どころに彼らの実際の体験や生活を盛り込んであり、役名も彼らの本名である。(Wikipediaより)
これはかなり怖い映画でした。
実際の事件をもとにした映画ということで、なるべく事実に近いかたちで映像にしてあるか、けっこう変えて物語として作り変えてあるか(冷たい熱帯魚みたいに) 、どういう感じの映画なのかというのを知らないまま、『銃乱射事件をもとにした映画』という情報だけで鑑賞。
オーディションで選ばれた高校生たちの、名前も人となりもそのまま使って出演させたことは何の意味があったのか?
観終わったあと、これを結構ずっと考えていました。「役者」に「演技をさせる」のでは駄目だったわけです。
うまく言葉にできないけど、お前だったかも知れないぞって事かも知れないです。他人事みたいに思うなよ、と。死んでしまった側、あるいは殺してしまった側だけ想像するんではなくて、こういう事件が起こるような社会をつくっている構成員のひとりだぞ、という。私だって社会をつくってる大人のひとり。怖い事件だねぇ、じゃなくて、お前が作った社会だろう、因果があるだろう、そういう認識をしなさいよ、とまっすぐに言われているような感じです。
作った人たちの意図は深い部分にありそうな気がして、この映画はものすごく怖いです。
あと、この映画をきっかけにしてコロンバイン高校銃乱射事件についてかなり調べました。そういう点でも、自分にとって良かった映画です。