ドッグヴィル
2003年/デンマーク
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニーほか
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閉塞的な町でニコール・キッドマンが酷い目に遭う映画。
ものすごく熱心なかたがWikipediaを編纂してくれているっぽいのだが、いわく”人間の「本性」を無視した観念的な道徳の無意味さを描く。続編の『マンダレイ』(2005)、『Washington』(2009予定 → 無期限延期)とあわせて「機会の土地-アメリカ」三部作をなすとされている”そうです。
約3時間という長い映画だけど、お芝居のように9章に分かれおり、これからの展開をわかりやすく説明してくれる。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督なのだけど、あぁダンサー・イン・ザ・ダークっぽいな、と思う箇所がしばしばあった。また、全体通してナレーションがあり、登場人物(多い)の感情や主人公の思考、場のムードを説明してくれるので「いまのシーンはなんだい?」とあまり深く考えずに「ナレーションのひとが言ってるからそうなんだろうな」と深く邪推せずに観ることができた。
舞台のようにだだっぴろいところで展開する物語で、家や通りなどはすべて白線で弾いて表してあり、ドアの開閉などはパントマイムで表現している。どんな建物なのか、どんなドアなのか、どんなイヌなのか、純粋に想像力を掻き立てられた。イヌだけ最後に実写になります。
この主人公の思考回路は自分と似ている部分が多々あった(映画だから誰でもそうなんだろうと思うけど)。労働ということについて、好意や善悪について、ちょっと深く考えてしまい落ち込んだ気分になった。
舞台となっているドッグヴィルの簡素な舞台、スタイリッシュというかお洒落でクリアファイルとかあったらほしいと思いました。お芝居好き、舞台演劇好きには単純にシチュエーションが堪らないと思います。ラストは個人的にスカッとしました。
眠かったけど途中でやめるわけにもいかなくて。3時間はちょっとツライです。でもいい映画、好きな部類の映画でした。
<メモ>
・この町は民主主義を捨てたといいながら、あらゆることを投票で。また、独立記念日はお祝いしたり、権力には無抵抗に従ったり、ちょっと謎だったけど「機会の土地アメリカ三部作」との記述をみて納得。
・7つの人形を壊すシーンと、7人の子どもを殺すシーン、主人公の決断だと思った。善悪はともかく、物事を良くする(解決する=納得する)ために必要なシークエンスだった。
・「何を求めているかを知り、それに応える それが愛だ」
・わたしに何も求めないからあなたが好きなの。
・数々の写真と、デビッド・ボウイの歌、あのエンドロールは対位ですね。