ファニーゲーム U.S.A.
2007年/アメリカ(主導)
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:マイケル・ピット、ブラディ・コーベット、ナオミ・ワッツ、ティム・ロス、デヴォン・ギアハート
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たまごを快くあげなかったから殺される映画。
観たことあるやつです。大好きなので再び観ました。この映画はとにかく始まり方と終わり方が好きです。色づかいも本当に美しくて、とくに白が美しい。
なんの罪もない無抵抗の家族が理不尽に殺されるという内容のため、よく「イライラする」「後味が悪い」とレビューされている映画なんだけど、私はどちらかというとスカッとする。最高にスカッとするのはナオミ・ワッツが死ぬシーン、あの「どーでもよさ」!初めて観たときは感動した。あと服を脱がしたあと、すぐ着ていいよ、と言うとこ。あの無関心さもいたく感動した。
なんと表現したらいいのか適切な表現が浮かびませんが、観客が映画に求める「映画性」のようなもの、予定調和のようなもの、その感情のネガティブな面をほんとーに嫌という程知らしめてくれる作品。繰り返し繰り返し、これは映画なんだ、と観ている私に語りかけてくる(比喩じゃなくて)。望まない展開は巻き戻してやり直したりする(比喩じゃなくて)。このメタ視点については終盤、ヨットで2人がちょっとだけ話し合ってる。
子どもが撃たれたあとの長回し、ナオミ・ワッツがピョンピョンしながら台所まで行くシーン、あそこの絶望感は本当に凄い。映画的な悲しみの表現はないし遺体に近寄ろうともしない。しかし、ほんと長いなーと思って測ったら9分33秒あった。あのシーンでTV消したの何でだろ。実際自分があの立場だったら、やっぱり気に障って消すんだろうか。
この映画は「ファニーゲーム(1997年/オーストリア)」を10年後に全く同じ脚本でリメイクしたもので(もともとのオーストリア版を観てないんだけど)、わたしはずっとこの映画はハリウッド映画に対するアイロニーなんだろうと解釈していた。だからハリウッド・リメイクしたんだろうと。無音のタイトルクレジットで始まり、無音のエンドロールで終わるこの映画は、”いわゆるハリウッド映画”に対するアンチテーゼだと思っていた。もちろんそれはあるだろうけど、今回観ていたら「国」を表現した映画なんじゃなかろうかという気持ちも浮かんだ。礼儀正しく喧嘩をふっかけて、そちらが先に手を出したので、と。慇懃無礼にまた次の国へ。歴史に明るくないですが、親切にドアを開けてはいけないですね。
全く同じ内容だそうなのですが、オリジナル版も観てみます。しかし、全く同じ脚本でリメイクできたのって凄いストイックですよね。(どっちを観ても同じですというレビューをよくみる。)いろんな大人の事情でアレコレされなくて本当によかったです。
<メモ>
・最初のドライブのシーン。本当に最高に美しい!
・戦争以外で子どもが銃で撃たれる映画、ミストとこれくらいしか浮かばないな
・割れた卵は3つ
・落ち着け、深呼吸しろ、服を脱げ、服を着ろ…2人に言われたことを(ニュアンス違えど)夫婦で言い合うことについて考えるなど。
・とにかくこの子ども役のデヴォン・ギアハートの演技が凄いんですよ。顔もかわいいし。1995年うまれだそうで、今むちゃくちゃカッコイイです。他の映画観たことないけど。