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ムーンライト

2016年/アメリ

監督:バリー・ジェンキンス

出演:トレヴァンテ・ローズマハーシャラ・アリ、ジャネール・モレイほか

エグゼグティブ・プロディーサー(権利所有者)にブラッド・ピット

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いじめられっ子の半生を美しい映像で追った映画。

アカデミー賞の発表間違え事件で広く知られたのでは。私もその時知って、観るまでどんな内容なのか知らなかったのですが、映画館に行くたびに嫌というほど予告編を観せられていたのです。が、予告編を観ても(なんかスッゲェいじめられとる)位しか情報が得られず、とても楽しみな気持ちで足を運びました。

エート、一番印象に残ったのは映像の美しさ!「ドライヴ(2011年/アメリカ)」という映画におけるピンク色のような感じで、ほとんどすべてのシーンに青色が入っているんです、それが物凄く美しかったです。パステルブルー、薄いブルー、濃いブルー、エメラルドブルー、家の壁、学校のドア、お母さんの服、家の家具、リュックサック、空、海…画面全体に目が向くようになっている。

内容なのですが、なんと言ったらいいか、うまく言葉にできません。観ながら「ここで終わったら予想外すぎて面白いなー」と思ったところで終わったんです!!つまり予想外すぎたのです!

彼は世の中のマイノリティの中でもマイノリティ、そのさらにマイノリティを自ら選ぶような生き方しか出来ていなくて。いじめられっ子だし、家族も友達も信じられなくてひたすら可哀想でとても共感(誰でもこういう気持ちってあると思うので)するんです。で、映画だから最後になにか展開があるんだろうと思いますよね。少しあるんですが、悲劇の重みと釣り合う希望は最後まで描かれないまま。

それが映画の感想に悪く影響したわけではなくて、いろいろな気持ち、特に子どもの頃に感じた孤独感とか親に対する感情、他人に対する怖い気持ち、そういったものを思い出させてもらえました。とにかく美しい映像で悲しみを表現したり、明るい曲でかなしみを際立たせたり、アメリカっぽくない繊細な映画でした。

アカデミー賞だしGWだし、ということで老夫婦とか女性グループとか若いカップルとかが多かったですが、さぞかし微妙なムードになっただろうな…

<メモ>

・同行者と話していたら印象に相違があって面白かった。私は自立の映画だと感じたけれど、同行者は恋愛の映画だと印象を受けたそうだ。恋愛経験の違いだろうか。私はあのまま別れて二度と会わないと思うのだけど、逆の印象を受けた人もいるのだろう。

・相手を好きになる過程に割く説明が少なく、どのくらい好きか・どこが好きかが伝わらなくて、だからラストもそこまで悲しくなかった。

・しかし、原作があるのにそれを読んでいない時点であらゆる考察は無駄というかとにかく読めって感じなんだろうな。

・たいへん美しく素晴らしい映画だけど、「反トランプ」の意思表示に使われた一面も(大いに)あったと思う。

・白人が全然出てこないし自然豊かなので、どこの国かなと思いながら観ていたけど、最初から最後までアメリカだった。

・グニャグニャした文字の字幕(昔っぽい、手書きっぽいやつ)の映画久しぶりだった。


映画『ムーンライト』予告