バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
2014年/アメリカ 119分 原題:Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニリャトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、エイミー・ライアン、ナオミ・ワッツほか
後に引けなくなったバードマンの映画。アカデミー賞作品賞受賞。全編がワンカットに見える映像で引き込まれ、計算された素晴らしい音楽と、シリアスとギャグが混在するシュールな世界が見もの。
リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は落ち目のハリウッド俳優である。かつては『バードマン』という3本のブロックバスター映画で主役のスーパーヒーロー、バードマンを演じ数十億ドルの興行収入を稼ぐほどのスター俳優だったが、それ以降ヒットに恵まれず、20年以上が経過していた。60代となり、家庭でも失敗したリーガンは『かつてバードマンを演じた俳優』として惨めな生活を送っていた。
単なる落ちぶれたアクション俳優ではなく、アーティストとしての自分に存在意義を見いだそうと自暴自棄になったリーガンは、ブロードウェイ進出という無謀な決断をする。(Wikipediaより)
これは好きな映画でした!!面白かった。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は「バベル」「21グラム」と好きな感じが多いので、そしてナオミ・ワッツが出てるので鑑賞。私はアカデミー賞受賞作とあまり合わないうえに食わず嫌いで観ずに来たのですが、これは観てよかったです。あの、中盤に差し掛かって初めて私達に「見える」シーンは最高!!
ブロードウェイで本格的な芝居をやるのだ、と意気込んでいる主人公なのですが、現実か妄想か分からないような体験をするようになる。で、こういう流れだとダウナーというか陰気がちな作品が多いけどこれは音楽の功績も大きく、サクサク観られる。
判断に迷う問題がいろいろあるなと感じたのですよね。ただ、「判断に迷う問題にさせよう」というギミックが見えるので、いろいろ迷って自分で解釈するのが良いのでしょうと思います。
観終わってこのようなことを考えた。
彼のフワフワシーンが通行人に見えてたり、次のシーンでは全く見えていなかったり、タクシーに乗ってきた描写があったり(!ここは爆笑だ)。え、どこまでが本当?そういえば彼はアルコールやマリファナをやっている、しかも最近寝てないようだ、じゃぁきっと妄想だろう、飲みすぎて路上で寝たあとの出来事だし酒が残ってたんだろう。 でも超能力は?全部「妄想だな」で片付けられる?散らかり具合はみんな見てるし、でも手で出来るっちゃ出来るけど…、どこまで「客観性のある本当」なんだろう?よし彼は語り手としてあまり信用できないな、そしたら娘かな、ラストでは娘にはどうやら楽しいものが見えているようだ、でも彼女はそういえば薬物中毒のリハビリ施設から出てきたばかりだしマリファナは今もやってる、彼女もあまり信用できないな、変な巻物書いてるしな。ラストは窓の下で救急車の音もしてるしな、お父さん残念賞だったかな、でも病院だからしてても不自然じゃないんだよな…そういえば画面には映画のBGMをそのまま今まさにソコで演奏しているドラマーがいきなり何回か出てきてたよね、劇場内にも居たし、あれはかなり妄想ぽいけどあれが見えて聞こえてたのは鑑賞していた私だけのような気がするけど私は果たして信用できるか…?(ここで頭が爆発)
で、匂わせては打ち消すエビデンスを出して、匂わせては打ち消すエビデンスを出して、というのを繰り返しているので、飽きるまでぼんやり考えてみたいと思いました。
そして今作ではエマ・ストーンが良いです。何が良いってスットコドッコイな役柄と、最後の表情ですね。私は希代のナオミ・ワッツ贔屓ですが、今作では彼女よりエマ・ストーンが良かったです。ラ・ラ・ランドの感想でも書きましたが友人にそっくりで、この役柄はラ・ラ・ランドより友人そっくりだったので個人的に良かったです。
▼よいシーン、だが目が危ないっちゃ危ないのがまた…
この少し前に、下をみてなんか悲しげな雰囲気になるんですよね、それがまた…(頭爆発)
批評家に対する批評が熱烈で、関係者全員の意見だろうなと思わさせられたり、現代の俳優や映画作品の名前がバンバン出てるとこ(大体ディスっている)も面白かった。あとタイトルの文字の出るとこでゴダールの映画を思い出した(何だったか忘れた)ので近々観たいなと思っているところです。
ちなみに自分はバードマンつったら断然コッチです。
▼これは編集なしで全編ワンカット