インランド・エンパイア
監督:デヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ジャスティン・セロー、ハリー・ディーン・スタントン、ダイアン・ラッド、ジュリア・オーモンド、裕木奈江、ローラ・ハリングほか
声の出演:ナオミ・ワッツ(うさぎ)
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夢と現実がごちゃごちゃになっていく女優の映画。
ハリウッドに住む女優ニッキー・グレイス(ローラ・ダーン)は、『暗い明日の空の上で』という映画の主役に抜擢される。しかしこの映画はいわくつきのポーランド民話を元にした映画『47』のリメイクで、呪われているらしいことが明らかになる。『47』は映画化の際に、主役の2人が謎の死を遂げ製作が中止に追い込まれていたのだ。それでも映画の撮影は進められたが、やがてグレイスの周りで不可解な事が起き出し、現実と映画の世界が交錯しはじめる。
何か忘れたけどイギリスのメディアの2000年代映画ランキングに入っているのを見て、マルホランド・ドライブの次作でもあることから興味を持って鑑賞。
リンチが好きな時に俳優を呼んで自分でカメラをまわしその断片を繋げていくという製作方法だったため、製作期間は2年半にも及んだ。そのため製作会社が資金提供を渋り、結果的にほぼ自主制作映画のような形になってしまった。リンチ本人は映画のことを「トラブルに陥った女の話」(about a woman in trouble)とだけ語っている。
脚本
監督の頭の中にはおおよその考えはあったが、まとまった脚本なしで撮影に挑んだため、リンチ本人ですら製作中のインタビューで「この映画の全体がどのように明らかになるのかは私にも分からない」というようなことを述べている。撮影中は監督が毎朝各役者に数ページの書きたての台本を渡していた。
撮影
全編デジタルビデオで撮影された。使用したカメラはソニーのDSR-PD150。デヴィッド・リンチは、「今後フィルムを使っての映画製作はしないだろう」と述べている。
あまり感想を持たずに観たまま脳に記憶しておきたい。
断片的で時系列もぐちゃぐちゃなプロットの繋ぎ合わせを観ているうちに「これ観たことあるっけ?」というデジャヴ感があって、観ているこちらも混乱してくる感覚があった。5つくらいの時間層があって、それをバラバラにして並べ直したような感じ。マルホランド・ドライブに似ている箇所もあり、町山智浩さんが「ロスト・ハイウェイとマルホランド・ドライブとインランド・エンパイアで三部作」と言っていたのを思い出した。
ていうか1箇所だけ強烈に怖くて驚いて『ギャー』と叫んだシーンがあって(ラストあたりの、例の顔)。もうあれはトラウマレベルに怖かった。
俳優もピエロも娼婦も『見られる側の人』の象徴で、あの銃を発砲したら強いフラッシュが光ったのはスポットライトを意味してるのかなと思った。現実だと思っていたら「カット!」の声が掛かりカメラが引いて撮影中であることが分かるシーンが2回くらいあって、そこも強烈に印象に残った。裕木奈江が出るところなんか死さえ内包されていて最悪だ。
ローラ・ダーンがずっと怖いというか怪訝な顔(リンチ自身に似てると思う、眉間にシワが寄りすぎて目が三角になっている)をしているんだけど観ている3時間のあいだ自分も同じ顔になってたと思う。
▼おもしろうさぎショー
▼鑑賞中の自分もずっとこの顔だった
あと、タイトルの「インランド・エンパイア」は造語かと思ったらそういう地区名があるそうで、勉強になった。
インランド・エンパイア(英: Inland Empire、口語ではIE)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州の南部、リバーサイド市とサンバーナーディーノ市を中心とする都市圏を指して使われることが多い言葉である。